監督・脚本:グラハム・フォイ

撮影:ケリー・ジェフリー 編集:ブレンダン・ミルズ 美術:エリカ・ロブコ

録音:イアン・レイノルズ プロデューサー:ダイヴァ・ザルニエリウナ、ダン・モントゴメール

出演:ジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネス、カレブ・ブラウ、シエナ・ イー

原題:The MAIDEN 日本語字幕:上條葉月

提供:クレプスキュール フィルム シネマ サクセション 配給:クレプスキュール フィルム

(2022年/カナダ/英語/カラー/16mm/ヴィスタ/117分)

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INTRODUCTION
カナダ・カルガリー郊外を舞台に、思春期の少年少女の友情と孤独、
喪失の悲しみを紡ぎ上げた、メランコリックで魔法めいた映像世界

カイルとコルトンは、カルガリーの郊外に住む高校生。親友同士のふたりは住宅地をスケートボードで駆け抜けたり、渓谷で水遊びに興じたりと、気の向くままに日々を過ごしている。夏休みが終わりに近づいたある夜、立入禁止区域の鉄道の線路に侵入したカイルに惨たらしい出来事が降りかかる。その頃、同じ高校に通う少女ホイットニーが行方不明になり、奇しくもコルトンが渓谷の岩場で拾ったホイットニーの日記帳には、学校での人間関係に悩む彼女の切実な心情が綴られていた。果たしてホイットニーの身に何が起こり、彼女はどこへ消えたのか。孤立したコルトンは、どうすれば心の空洞を埋めることができるのか。そして、まだ現世をさまよっているかもしれないカイルの魂の行く末とは……。

 

ある日突然、取り返しのつかない悲劇に見舞われた高校生の若者たち。やるせない喪失感と孤独に苛まれる少年少女3人の物語を、粒子の粗い16ミリフィルムの質感を生かしたみずみずしい映像美で紡ぎ上げ、観る者に超自然的とも言える魔法めいた映画体験をもたらす。グラハム・フォイ監督の長編デビュー作『メイデン』は、彼自身が育ったカナダ西部のアルバータ州カルガリーで撮影を行ったメランコリックな青春映画。いずれもオーディションで見出され、これが映画デビュー作となったジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネスの演技と存在感も特筆もの。なかでも若き日のリヴァー・フェニックスを想起させるスルイターの鮮烈なカリスマ性には、多くの観客が目を奪われることだろう。本作は、第79回ヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門で”未来の映画賞”を受賞、第75回カンヌ国際映画祭の批評家週間「Next Step」のプログラムにも招待され、フォイ監督は期待の新鋭として世界に認められた。

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STORY
「死後の待合室」で二人は出逢い、時空を彷徨う ─────

カイルとコルトン。二人はカナダ・カルガリーの郊外に暮らし、同じ高校に通う親友同士。カイルはどんなときでも物怖じしない、行動的な性格の持ち主。コルトンはそんな彼にいつも少し控えめについていく。だから二人は馬が合い、固い友情で結ばれている。ある日彼らは、誰もいない建設途中の家屋にやってきた。陽気に叫ぶカイルの声を合図に、家屋内の探索をはじめる二人。廃材、カセットテープレコーダー。そこで二人が見つけたのは、黒い猫の死骸だった。このままでは「可哀想だ」と彼らは死骸を郊外の渓谷に運び、小さな筏を作っては、手向けの花とともにそれに乗せ、川に流して猫を弔う。

 

スケートボード。ビール。ちょっとした悪ふざけ。そしていつものように川遊びを楽しんでは、鉄道橋の下で将来の夢について語り合う二人。日が暮れ、辺りが暗闇に包まれ始めた頃。線路伝いに、鉄橋の先をさらに歩いていこうとするカイル。彼の後に続こうとするコルトンは列車が近づく音に気付き、大声でカイルに知らせる。だがその声は彼に届かず、列車は無情にも目の前を通過するのだった。

 

ホイットニーは、大勢の人たちと一緒にいるのがとても苦手。彼女の唯一の慰みは花や草木、虫たちの絵を描き、日々の思いを日記に綴ること。だから親友のジューンがアメフト部の男子学生たちと楽しそうに話していても、そこに加わろうともしない。放課後、ホイットニーと一緒にいたジューンは学校の廊下でタッカーに声をかけ、ホイットニーとタッカーの車に乗り込む。車中、助手席のジューンはタッカーとの会話に夢中になるが、ホイットニーにはこの時間が苦痛で仕方がない。彼女は思わず「停めて!」と叫び、車から逃げるように降りてしまう。翌日、昨日のことを謝ろうとジューンに声をかけるが、彼女の態度はどこかよそよそしい。自宅に戻るとジューンからのメール。“これからはそれぞれが前へ進むべきだと思う”。その文面を読み、ひとしきり何かを考えた後、リュックを背負ってカーテンの向こうへとホイットニーは消えていく…。

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COMMENTS

喪失の極みに見舞われた十代たちのミステリアスで甘酸っぱい傑作
──── Variety

思春期ならではの喪失と悲しみに向かう夢のような航海の物語

──── Screen international

ヴェネツィア国際映画祭、最高の新発見。オープニングののんびりとした雰囲気から一転して、不可思議な夢幻世界へと私たちを心地よく誘う

──── The guadian

友人の喪失と友情の喪失…二つの異なる悲しみは静かに寄り添うように同化する

──── Toronto star

友情、悲しみ、そして帰属する場所がないことの苦痛と瞠目の両方について、強烈な雰囲気で瞑想した『メイデン』は、忘れられない作品だ

──── The globe and mail

ヴェネツィア国際映画祭での最も美しい啓示

──── The guadian

友人の喪失と友情の喪失…二つの異なる悲しみは静かに寄り添うように同化する

──── Cahiers du cinema

誰かに近づきすぎて、相手の反対側になってしまうことがある。これは深い悲しみの霧の中に孤立してしまう孤独な魂たちの物語

──── Moveable fest

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STAFF

監督・脚本:グラハム・フォイ
Graham FOY

1987年カナダ・アルバータ州エドモンド生まれ。短編映画『Kosmos』(2011)で監督デビュー。その後、『Tuesday』 (2012)、『Paradise Falls』 (2013)で、トロント国際映画祭のカナダトップ10リストに選出、『 Lewis』(2015)、『 Mouseland』 (2017)、『Good Boy』 (2018) 、『August 22, This Year』 (2020)ではそれぞれ、カンヌ国際映画祭の批評家週間で上映される。 2021年、初の長編映画『メイデン』は、カンヌ国際映画祭の批評家週間「Next Step」のプログラムに招待された。フォイは、本作を監督するにあたって、模範的な高校の日常を追ったフレデリック・ワイズマン監督作のドキュメンタリー映画『高校』を参考資料として挙げている。

撮影監督:ケリー ・ジェフリー
Kelly JEFFREY

数多くのアーティストの音楽ビデオ、短編映画を手掛け高い評価を得る。 2020年、初の長編作品 『Materna』がトライベッカ映画祭で最優秀撮影賞を受賞する←削除。本作ではデジタル撮影とは異なる、鮮明とは言いがたい映像に空気感やノイズがより光と影を見事に映し出し絵画的効果を実現していた。2024年には、自暴自棄になった映画監督が、ガールフレンドと救助犬を飼ったことからアイディアを得るというコメディ映画『The Heirloom』 を手掛けた。

CAST

ジャクソン・スルイター(カイル役)
JACKSON SLUITER

アルバータ州カルガリー生まれ。アルバータ芸術大学で彫刻を学び、ハードコアバンド 「Jailpocket」 のボーカルとしても活躍。また、Vans と Nine Times Skate Shop がスポンサーのスケートボーダーでもある。本作で俳優デビュー。

マルセル・T・ヒメネス(コルトン役)
MARCEL T JIMÉNEZ

アルバータ州カルガリー生まれ。映画界でのキャリアを追求するためにオンタリオ州トロントに移り、トロント映画学校で演技と映画製作を学ぶ。本作で俳優デビュー。

ヘイリー・ネス(ホイットニー役)
HAYLEY NESS

アルバータ州コクランのボウバレー高校で舞台芸術プログラムを専攻。舞台での演技に加え、短編小説や劇の執筆を手掛けるなど、多才な一面も。俳優としての本格的な活動は、本作が初。

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THEATRE

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劇場名TEL公開日前 売
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京 都アップリンク京都075-600-78904/25〜
長 野上田映劇0268-22-02695/16〜
静 岡静岡シネ・ギャラリー054-250-02835/16〜
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